新型コロナのウソとホントシリーズ⑨
〜緊急事態宣言をやればやるほどコロナは抑えられる〜

これはウソです。意外に聞こえるかも分かりませんが、緊急事態宣言のように物理的に人と人との接触を遮断する疫学的な感染対策は、あまりやりすぎると逆に新型コロナは拡がりやすくなります。確かに2回目の緊急事態宣言を行うことで、コロナの第3波を押さえ込むことは出来ました。しかし、それを解除した途端、コロナ感染がこれまでにないほど急激に増加し始め、早くも第4波だという声が聞かれます。この事態を冷静に眺めていると、少し感染の再拡大が速すぎる点が気にならないでしょうか? そうなのです。人と人との接触を強制的に遮断すればするほど、遮断を解いた途端により強いリバウンドが生じます。これは「新型コロナのウソとホントシリーズ④と⑤」で述べた「非常事態宣言をすることで新型コロナウイスルがより感染力の強いタイプに変異したものに自然淘汰されて行く」という理由によっています。

 一人の人間の中に生存できる時間が2〜3週間足らずの新型コロナは、非常事態宣言により、次に感染して生き延びて行くべき人間を見つけることが困難になります。すると自然淘汰の原則に従って、よりかすかな接触でも次の人間に感染できるタイプのウイスルだけが生き残ってゆくことになります。そのため、非常事態宣言をやればやるほど、より感染力の強い変異種に淘汰されて行き、ますます感染を押さえ込むことが困難になります。そして、非常事態宣言を解いた途端に、選び抜かれた強い感染力のあるタイプの新型コロナウイルスが、急激に感染を拡大させて行きます。これは皮肉なことですが、物理的な人と人の接触を断ち切るという手法の限界を示しています。丁度、細菌による感染症に抗生物質を頻繁に使用していると、やがて自然淘汰によって抗生物質に耐性を持つタイプの細菌だけが生き残ってしまい、ますます抗生物質による治療が困難になることに似ています。

人体の中で繁殖した細菌にしてみれば、抗生物質を投与されるということは、あたかも核爆弾を投下されるようなもので、ほとんどの細菌は皆殺しにされます。抗生物質は細菌にとっては恐怖の兵器と映ると思います。これと同じように非常事態宣言は、新型コロナウイルスにしてみれば、敵に包囲されて逃げ場を失う事態と感じるかも知れません。うかうかしていると隔離されて座して死を待つのみとなるからです。そこで、ほんの僅かでも隙を見つけると素早く隔離から逃れられるタイプのウイスルのみが淘汰されて生き残ることになります。しかし、こうなることは最初から分かっていたといえます。

 問題は、そうして淘汰された感染力の強いタイプの新型コロナウイルスが、いまだに毒性を弱めていない点です。新型コロナウイルスは二重構造になっていて、内側にあるウイルス本体であるRNAという螺旋形の分子と、それを外側から包み込むようなエンベロープとそれから突き出ている数多くのスパイクから出来ています。次の図の中にある丸まったバネのような部分がウイルスの本体で、外側にある中空の球体がエンベロープです。

 現在起こっているウイルスの変異は、外側のエンベロープから数多く突き出ているスパイクの部分に起こっていると考えられます。新型コロナウイルスは感染する際にこのスパイクを利用して人の細胞に侵入します。現在蔓延しつつある変異ウイスルは、このスパイクの形が細胞への侵入により有利な形になり、感染力が増して種としての生存力を高めていると言えます。それに対し、肝腎のウイスル本体であるRNAの配列にはあまり変化が起こっていないため、毒性の低下が見られないと考えられます。そのRNAにも毒性を低下させる変異が生じれば新型コロナも風邪の一種になって行きますが、逆に毒性が高まるようにRNAが変化してしまうと感染状況はより悪化します。ちなみに、現在国内で接種が始まっているファイザー社製のワクチンは、この外側のスパイクを合成する遺伝子を投与して人の細胞にその遺伝子からスパイクを合成させ、それを攻撃する抗体をその人の免疫系が生成することで、新型コロナウイルスに対する免疫力を獲得するものです。

 もう一つの問題点は、非常事態宣言に代表される物理的な感染防止による感染対策をやり過ぎると、行動の自粛とリバウンドのいたちごっこというジレンマに陥ることです。現在の変異型は主としてイギリスやフランスで発生しました。そうした国は強硬な手段であるロックダウンを行ったため、変異型のウイルスの発生を助長した可能性もあります。しかし、感染対策として出来ることが、人と人の交流を断つことしかなかったため、やむを得なかったと言えます。しかし、ワクチンの利用が可能になった以上は、新型コロナウイルスを押さえ込む手段として、物理的な感染対策の段階から、ワクチン接種の推進や有効な治療薬を開発するという段階に移行してゆく必要があるといえます。マスクの着用や部屋の換気・会食の自粛などは重要な対策で欠かせませんが、それを全ての人に常時求めることが難しい以上、人為的あるいは自然な過程で多くの人が新型コロナウイルスに対する抗体を持つようにならないと、新規感染者の増加を押さえ込むことは難しいと言えます。

関連記事

  1. 男性の美容を真面目に考える⑤〜顔貌の加齢性変化と男女の違い …

  2. 顔面骨の加齢性変化と顔の老化⑥~顔面全体の骨格の変化~

  3. 顔面骨の加齢性変化と顔の老化④~鼻の穴の加齢性変化に関して~…

  4. HigherSelf 開発者の西嶌順子先生が本を出版しました…

  5. 男性の美容を真面目に考える④〜顔貌の加齢性変化と男女の違い …

  6. 『eltha(エルザ)』に西嶌順子先生のスキンケアの記事が掲…

PAGE TOP