顔面骨の加齢性変化と顔の老化③
~眼窩の加齢性変化と性差~

3)眼窩の加齢性変化と性差

眼窩とは眼球の収まる頭蓋骨のくぼみであり、前頭骨、蝶形骨、篩骨、涙骨、口蓋骨、頬骨、上顎骨の7つで形成されています。そして、眼窩は加齢と共に拡大し、特に外下方へ広がり、老年期にかけて数mm以上変化するのが一般的です(図5)。

これらは、骨の1つ1つが萎縮し、小さくなると、複数個の骨で囲まれた空間やフレームが大きくなることから、イメージができると思います。特に眼窩外側〜下縁を形成する頬骨は、隣接する前頭骨や上顎骨に比べ、骨が小さく、血流が乏しく、加齢による萎縮が高度である為と考えます。

また、C Tスキャンによる研究から、眼窩のサイズは女性に比べ、男性の方が大きいことがわかっています。18~40歳までの平均眼窩容積は男性で23.6cm3、女性で20.9cm3であり、40歳以上では男性で25.3cm3、女性で22.9cm3です。特に、眼窩の下縁の周囲は男性の方が女性に比べ約3.6mm長い(p値=0.03)とされています。また、眼窩の容積は年齢と強く相関しており、男性では14.9歳まで、女性では10.9歳まで急速に増加することがわかっています。さらに、眼窩容積は40歳以上の男女で有意に増加します。

一方で、眼球容積については、男性の方が女性よりも大きい傾向はありますが、有意差を示す程ではありません。

※文章中の図はネッター解剖学アトラスを参照しました。

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