男性の美容を真面目に考える 12
〜肌の微小循環における男女差〜

■皮膚の血管と微小循環

基本的に、皮膚から遠い層(深い層)の血管は太く、皮膚から近い層(浅い層)では細くて密度が高くなっています。

すなわち、血管の太さは、存在する層によって以下のように変化していきます(図1)。
皮下組織>真皮深層>真皮浅層

血管は、真皮の浅い層で毛細血管となり、網目状に走行し、静脈へと移行していきます(図1)。

また、顔面の血流の支配する主な血管の一つに、顔面動脈があります。この動脈は、外形動脈から分岐して、上行口蓋動脈、オトガイ下動脈、下唇動脈、上唇動脈の枝を出して、最終的には眼角動脈と吻合しています(図2)。

※イラスト顎顔面解剖学(著:松村譲兒、島田和幸)から引用


これらの血管は基本的に皮下組織を走行しており、そこから、図1のような構造で皮膚表面に達しています。

■血液の働き

皮膚の再生や活性にとって、血液はとても大切な働きをしています。皮膚の血管は真皮全体に分布しています。そこを流れる血液は、表皮の基底細胞や真皮の線維芽細胞などに栄養や酸素や水分を届けます。その後、静脈となり、皮膚の老廃物や二酸化炭素を運び去る働きをしています。

また、皮膚の血管はまた、体温調節にも働いています。暑くなると拡張し、血液を多く流して体外に熱を逃がしています。逆に、寒くなると収縮し、表面の血液を少なくして熱が逃げるのを防いでいます。

■皮膚の微小循環の測定方法

皮膚の血流を評価する方法は様々ありますが、その一つに、レーザードップラーを用いた方法があります。この方法は、毛細血管の中を流れる血液量(Mass)と速度(Velocity)の積で総血流量を算出しています(図3)。

動脈硬化や糖尿病の患者は、血管の内腔が狭窄したり、毛細血管が破綻したりします。その結果、皮膚の血流が少なくなり、栄養が十分に行き渡らず、皮膚が弱くなり、キズが治りにくくなります(図4)。

その他、皮膚の血流の評価には、SPP(皮膚灌流圧)や足関節/上腕動脈血圧比(A B I)などが使用されることもありますが、これらは主に下肢の血流評価に用いられます。

■皮膚の酸素化の評価方法

また、皮膚の血流が乏しくなると、皮膚に十分に酸素が行き届かなくなります。その為、皮膚の酸素濃度を測定することで、皮膚の血流や再生能力を予想することができます。それらを、経皮酸素分圧測定装置(tcpO2)と呼び、日本の保険診療でも徐々に用いられてきています(図5)。

■皮膚の微小循環の男女差

Rodrigues(2001)らは、男女それぞれ8名を対象として、血圧計などのカフを使用して鬱血状態を作り、レーザードップラーや経皮酸素分圧測定装置(tcpO2)で男女差を比較したが、男女間で有意な差は認めませんでした。

■血清ホモシステインと皮膚の微小循環に関わる男女差

Hornstra(2014)は260人(平均年齢:42歳、男性47%)を対象とした臨床研究を行い、男性の場合、ホモシステインと毛細血管密度の間に負の非線形的な関係があることが示されました(比例的に減少せず、曲線を描いて減少すること)。一方で、女性では、ホモシステインと毛細血管密度に関係性は認めませんでした。

また、男性の場合、ホモシステインが高いほど、皮膚の毛細血管の血流量が減少していました。

■血清ホモシステインは血管を損傷する

血液中の血清ホモシステインが血管内で酸化される過程で酸素ラジカルを生じます。そして、血管内皮細胞を障害し、血小板の凝集が引き起こします。その結果、血管壁の平滑筋細胞の増殖やコラーゲン線維の過剰な合成により血管が肥厚・硬化し、動脈硬化の状態になります。また、血小板の凝集に伴い、血管内皮細胞を損傷する為、動静脈の血栓症が生じやすくなります。

すなわち、ホモシステインが高いと、抹消の毛細血管への微小血栓や、中枢則の血管の血流の低下により、皮膚表面の血液循環が悪化すると考えられます。

なお、血清のホモシステインが15.3μmol/L以上の群では脳卒中、虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症など)の死亡が高く、血清ホモシステイン値10.5 μmol/L未満群に比べて、それぞれ4.4倍、3.4倍との報告も認めており、臨床的にも血管と密接な関係があることが伺えます。

血清ホモシステインの濃度が高い場合、葉酸、ビタミンB12、ビタミンB6の栄養補助食品を単独または併用で使用すると、正常化する場合があります。葉酸は野菜・果物・豆類・海草類・緑茶に多く含まれ、ビタミンB12は魚介類・レバーに多く含まれます。葉酸とビタミンB12は水溶性のビタミンなので、毎日の食事からとることが大切です。

まとめ

  • 肌の微小循環は、真皮全体に分布する毛細血管と皮下の血管が担っている。
  • 肌の微小循環の評価法には、レーザードップラーや経皮酸素分圧測定装置(tcpO2)がある。
  • 肌の微小循環に関して、明らかな男女差は認めない。
  • 男性の場合、血清ホモシステインと毛細血管密度・血流量は負の相関関係にあるが、女性では認めなかった。
  • 血清ホモシステインは血管損傷による動脈硬化や微小血栓の原因となりうる。

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