顔面のシワについて真面目に考える Part.1
~シワの成り立ちと種類・治療~

■シワとキメの違い

シワとキメはいずれも肉眼で分かる、皮膚の表面の線状の陥凹が作り出す紋様です。キメは、年齢によらず体表のほぼ全域に存在し、かつ均一であるため、加齢性変化としては認識されにくいです(図1a)。一方で、シワは特定の領域に集中して存在し、その配列が不規則であるため、加齢性変化として目立ちやすいです(図1b)。

■シワの種類

顔のシワの種類は、その深さと成り立ちから、主に、①ちりめんジワ②表情ジワ③真皮のシワ(小ジワ&大ジワ)の3種類に分類されます(図2a-c)。

①ちりめんジワ(図2a)

目元などによくみられる浅く細いシワです。小シワとも呼ばれます。その深さは、角質までで、皮膚表面(角質)の乾燥が原因で起こります。冬場には、子供にも見られます。ちりめんシワは肌が潤うことで改善します。

角層の水分量や蒸散に関しては、下記のブログを参照ください。

男性の美容を真面目に考える② 〜肌の水分量の男女差〜

男性の美容を真面目に考える⑨ 〜皮膚から蒸散する水分量に関する男女差〜

②表情ジワ(図2b)

笑顔やしかめっ面など、顔の表情に合わせてできるシワです。若いころは表情が戻れば見えなくなりますが、年齢を重ねると深く刻まれ、“③真皮のシワ”へ移行します。

最近は少しずつ減ってきましたが、いまだに、シワ予防のためのフェイシャルエクササイズ(顔面体操)を推奨しているケースがあります。確かに、筋肉レベルのたるみには有効かもしれませんが、シワはあくまで皮膚(主に真皮)の問題なので、筋肉を鍛えても皮膚は伸びません。それどころか、皮膚の伸び縮みを繰り返すことで、真皮のコラーゲンが摩耗し、シワの原因になります。表情豊かな欧米人にシワが多いのはその為です。

また、過度なダイエットや筋トレにより、皮下脂肪や角質の水分が失われると、皮膚のハリがなくなり、シワが悪化します。皮下脂肪は実は隠れた美の立役者なのです。

表情ジワに対するホームケアとしては、保湿などの適切なスキンケア、肌に愛護的な化粧品の選択、高タンパク食などがあります。医療レベルでは、レーザー&フォトフェイシャルによるコラーゲンの活性化や、ボトックスの注射による表情筋の緊張の緩和などの治療があります(図3)。

一方で、表情ジワは、その人の喜怒哀楽や人生が刻まれた勲章とも言えます。樹木希林さんのように、「せっかくできたシワだからもったいない」という考えも素敵だと思います。

Part.2へ続く

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